解けない恋の魔法
「お疲れ様。昨日のアレで足腰痛くない?」

「え!!……ここでそういう話は……」

「あはは。緋雪、動揺してる」

 ムッと口を尖らせると、彼は逆にニヤっと意味深な笑みを浮かべた。

「その顔やめてよ。尖らせた唇にキスしたくなる」

 そう言われて私は一瞬で唇を引っ込めた。

「あちらのテーブルへどうぞ。言っときますけど今日は“仕事”ですからね、宮田さん!」

「はいはい」

 ガツンと言ってやったつもりなのに、この人には全然効いてない。
 ……ま、それは以前から変わっていないな。

「これなんだけど……」

 移動するとすぐに宮田さんは書類ケースから一枚のケント紙を取り出して私に見せた。
 テーブルの上に並べられたそれを見て、私は一瞬で驚愕する。

「な……なんですか、これは……」


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