解けない恋の魔法
「何……緋雪、男でもできたの?」
「いやいやいや、そんなわけないじゃないですか!」
手をブンブンと横に振りながら、あわてて真っ向否定すると、麗子さんはケラケラと綺麗な顔で笑う。
否定する自分が悲しいけれど。
「また、誘ってください」
「うん、また今度。その代わり、男が出来たら絶対言いなさいよ?」
せっかく先輩が誘ってくれたのに、それを無下に断る後輩でごめんなさい。
それもこれも全部、気まぐれイタズラわがままっ子のせいなんです!
――― 時は、昨日の夜にさかのぼる。
私が仕事から帰ってきて、家でホッと一息ついたのもつかの間。
スマホに、宮田さんから着信があった。
どうしたのかと、自然と眉間にシワを刻みながらも静かに通話ボタンを押す。
「もしもし」
『あ、もしもし。朝日奈さん?』