最悪から最愛へ
このままいていいと言われた渚は、ベッド周りを見る。特に面白い物はない。

ここにいても…何もすることはない。


「いえ、帰ります。乗せてもらってもいいですか?」


帰るか、帰らないかと聞かれたら帰る選択になる。主のいない部屋で寝れるほど図々しくはない。まして、恋人でも友達でもない人の部屋では。

でも、そんな部屋に二度も泊まってしまった。そこに自分の意志はなくても、泊まった事実は残る。渚は一生の汚点ではないかと思う。


「なら、あと10分で出るから」


渚は、急いで着替えた。


「すっぴんか?」


「はい…」


家に帰るだけだ…だから、わざわざ化粧までしなくてもいい。峻を前にして、今さら着飾る必要もない。


「ありがとうございました…」


峻に家の前で降ろしてもらった渚は、頭を下げる。

峻は軽く片手を上げて、ラックスストアへ車を走らせた。
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