最悪から最愛へ
嫌なタイミングに来店してきたものだ。

レジは渚の他に女性のバイトが一人いるだけだった。


「とりあえず、閉店前にもう一度来るよ。良い店を探しておくね。遅い時間だから、限られてしまうけど」


「いえ、あの…本当に困ります」


「ここに来るのが困るというなら、そこのファミレスで待ってるから来てね」


断られているのに分からない男である。分からない振りをしているだけなのかもしれないが。

「もし来なかったら…」


「え?」


「クレーム入れるよ」


渚が行かなかったら、クレームを入れる…安全、安心、信用をモットーにしているスーパーだ。こんなことで、店の評価を落としたくない。

もし、渚を指定してのクレームだったら…最悪の場合、退職しなければならなくなることもありえる。

最悪の事態はなにがなんでも避けたい。でも、解決策が見つからない。
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