最悪から最愛へ
睨み合う2人の間に入った江梨子は、渚の背中をそっと押す。

渚は峻の真ん前に立つが、口を一文字にしていた。


謝れと言われると謝れなくなる。素直になれない。


「はあ…別に謝らなくてもいい。今度同じようなことがあったら、どうなるか覚えておけよ」


何も言わない渚に峻は呆れる。


「覚えない…」


「は?」


「覚えません!江梨子、行こう」


少し目が潤んでいる渚は、意地を張っているように見える。


「渚。いいの?ちゃんと謝ったら、良かったのに。きっと許してくれたよ」


まるで母親が子供に言い聞かせているみたいだ。


「いいの。許してもらおうなんて、思わないから」


本当に来なければよかったと…何度も何度も後悔して、翌日の出勤が憂鬱になる渚である。

しかし、後でシフト表を見て、峻が休みなのを知って、心が軽くなった。
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