うつくしいもの

「――兄貴とか、好きじゃない女とでも平気で出来たりするけどさ。
だから、同じようにしてみたけど、
俺はやっぱり無理で……。

そうやって忘れようとすればする程、
菜々花が恋しくて」


そう話す優雅の横に、
私も腰を下ろした



優雅の手を、そっと握った




「――女関係、全部清算して来た。

勝手だけど、やり直したい」


優雅がそう言い終わる前に、

私は優雅に抱きついていた




優雅が強く私を抱き締め返してくれて、

本当に私の元へと戻って来てくれたのだと感じて、

涙が溢れた




もう二度と、失いたくない
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