「なぁなぁ、頼みがあるんだけど。このファックス送ってくんない?」

隣の席から声がかかり、チラリと視線を向けた。

「何で私が?」

「頼むよ。俺、ファックスなんて送ったことないし間違って送ったらヤバいだろ。ちょっとやってくれよ」

そう言って図々しく頼んできた。
こっちも覚えることがたくさんあって自分の仕事に集中したいのに。
そんな私の事情はお構いなしにツンツンと腕を人差し指でつついてくる。

あーもぅ!
あまりにもうるさいから渋々立ち上がり、浅村くんに向かって右手を差し出した。


「今日だけだよ。次からは自分でやってよ」

「サンキュ」


手渡された紙を見て眉間にシワが寄る。


「浅村くん、これってどこの誰に送るの?」

「は?」

「は?じゃないし。送信状は?」

「あっ……」


ホント何なのよっ!

受信先の会社名とか部署とか日付とか、誰宛か書かなきゃダメでしょう。
送信者も誰が送ったか分からないと相手が困るし。

その為に送信状があるって教えてもらったばかりなのに。
ため息が出る。


「送信状を置いてる場所は分かるでしょ?」

「おう!取ってくる」

浅村くんは席を立った。