社員旅行から一週間が経った。

洗濯したカーディガンも田中主任に返し、すっかり通常モードに落ち着いた日々を過ごしている。



いつものようにデータ入力していたら、出先から戻ってきた橋本さんが乱暴に椅子の上にバッグを置いた。


「あーもう、あのクソ狸め。ホント使えない」


隣の席で図面を見ていた田中主任が驚いて視線を向け、口を開く。


「どうしたんすか?」

「どうしたもこうしたもないわよ。わざわざH建設の部長に会いに行って仕事の進行状況を尋ねたら『担当は大島だから大島に聞いてくれ』って。その大島くんは今日は出張だし。仮にもあの現場の責任者は川田部長なんだから、今どんな状況なのか把握してるのが普通でしょ。それに大島くんだって部長に報告してるはずなのに……。いい加減過ぎて腹が立つ」

「あの部長は難しい現場や自分の手に負えなさそうな現場は若手育成とか言って誤魔化して大島くんや部下に振ってるらしいですね。表向きは川田部長の担当だから黒字になった現場は自分の手柄にしてるっていう噂だし」

「そうなの。自分は何もしていないくせに会社で表彰されたら『あれは自分の現場で……』って得意気に話をしてるみたいでふざけんなって感じ。マジであんな上司、あり得ない」


憤慨した様子の橋本さんに田中主任は苦笑いする。