恋のはじまりは曖昧で
「しゅに……」
堪らず名前を呼ぼうとしたら、人差し指を私の唇へ押し付ける。
「こんな時に何て呼べばいいか、分かるよな?」
王子様フェイスで色気たっぷりにそんなことを言う。
その顔に見惚れていた私は自然と名前を呼ぶ。
「浩介さん……」
目を細めて満足そうに笑うと、唇や額、頬にキスの雨を降らす。
着ていた服を脱がされた。
お風呂上がりだったので、ブラジャーなんてつけていなくて、あっという間に一糸まとわぬ姿になる。
何度経験しても恥ずかしくて身を捩りたくなる。
だけど、浩介さんはそれを許してくれなくて。
「綺麗なんだから隠すなよ」
そう言って私の素肌に口づける。
浩介さんが触れたところすべてが熱を帯び、思わず甘い吐息が漏れる。
私の身体を指先や唇で優しく丁寧に愛撫され、自然と恥ずかしさより快感の方が勝っていく。
「紗彩」
少し掠れた声で私の名前を呼び、浩介さんの熱が体内に入ってきた。
強烈な圧迫感に身体がのけぞり、労わるように額にキスをしてくれた。
心も身体もひとつに溶け合っているのを実感する。
熱い痺れが身体中に駆け巡り、一気に高みへと押し上げられた。
幸せな気持ちに満たされ、お互いの鼓動と温度を感じながら抱きしめ合った。