君と夢見るエクスプレス
7. 私がここにいる理由

どうして、こんな事になっちゃったんだろう。



考えても考えても、わかるはずもなく。考えたからといって、答えが出てくることもない。



滝野原駅から徒歩五分。私の住んでるアパートから、ほんの数十メートル先に橘さんの住んでるアパートがあった。



まさか、こんな近くに住んでいるとは思わなかったから驚いた。今まで顔を合わせることがなかったのも、ある種の奇跡かもしれない。



制服のままで行くのは嫌だから食事前に着替えたいと言って、彼のアパートに連れてこられて。何故か部屋で上がることになって、ソファに座って待たされて。



テレビを点けて、冷たい麦茶なんか出してくれた彼は、洗面所でドライヤーを使って髪を整えてる。短いんだから、放っておいても自然に乾くだろうに。



彼が制服のままでも、髪に制帽の跡がついていても、そんなことなど私は全然気にならないのに。



「お待たせ、行こうか」



洗面所から戻った彼は見違えるほど爽やかで、ビシッとした制服姿とは一味違う。



不覚にも、ドキッとさせられてしまった。



私としたことが……
何だろう、この妙な気持ちは。






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