センセイの好きなもの
巧先生は身を乗り出して、私の目の前で鼻息荒く言う。
この人やっぱり占い好き?もしかして大好き?

ていうかラッキーポイントじゃなかったら私、今頃どうなってるんだろう。

私はただただ、巧先生の言葉に頷くばかりだった。


「決まり。親父、コイツでいいよ。それからお前はカタカナで“ツム”だ」


「は?カタカナ?」


「そ。だってツム、ちっこいだろ。カタツムリのツムだよ」


身長153㎝。ぺったんこのスニーカーだし、そりゃ確に小さい。反撃のしようもない。
でも、カタツムリって…。


「お前ね、女の子に向かってそれはないだろ」


「つむみって言いにくし、親父、つむって言ってたろ。ツムでいいじゃねーか!」


こうして私の呼び名はツムになってしまった。だけど意外と気に入っている。先生には言わないけど。
だって調子に乗りそうだから。
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