センセイの好きなもの
「マジか!ツム、それでケーキ作ってくれよ!いや、タルトのほうがいいかな…でもパフェもいいなー」


巧先生は嬉しそうに目を輝かせて、ニコニコしている。
食べ物のこととなると、本当に子どもみたい。


「事務所でケーキは作れません。時間も手間もかかるし。それよりお昼ごはん、何か作りましょうか?」


私の仕事。
賄いを作ること。
つまり、今とってもお腹を空かせているであろう巧先生のお腹を満たすことが重要だ。


「ハンバーグだな!目玉焼きも一緒に」


「…たまには和風ハンバーグとかどうですか?」


私は巧先生からはいつも、目玉焼きの乗ったハンバーグのリクエストしか聞いたことがない。

吉川先生やみち子さんは和風ハンバーグだったり(大根おろしと大葉を乗せてポン酢)、とろけるチーズを乗せたり、中に入れたり。


「それは今度な」


巧先生はニコッと笑うと、私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
何でも一度で掴めそうな、大きな手。
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