センセイの好きなもの
「みち子さんだって好きなモンばっか食ってるでしょ。だから何年も痩せないんじゃん」


「私はもういいわよぉー。でも先生は若いんだから。まだ結婚もしてないんだし!」


みち子さんはアッハッハーと笑いながら、巧先生の背中をドン!と叩く。
確かにみち子さんはぽっちゃりより上かな。

巧先生はむせていて、お茶を流し込んでいる。




5枚焼いたパンケーキをペロリと平らげたとき、階段をドタバタと駆け上がる音がした。
そしてドアをがガチャン!と乱暴に開く。


「ま、間に合ったー!」


息を切らせてゼーゼーと息継ぎをしている。
時計を見ると、針は8時50分を指していた。


「おい、颯!ギリギリすぎるぞー」


巧先生は自分の寝泊りのことや、まだ直していない寝癖のことや、私に朝からパンケーキを作らせたことを棚に上げて注意する。
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