恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「じゃあ、いいじゃん。安い女ならさっさと切り捨ててよ」


私が怒りを噛み殺しながら言う。
すると、幾郎が怒鳴った。


「おまえが決めんじゃねえッ!!」


言うなりつかみかかってきた。

私も運動神経は悪くない。
咄嗟の事でも、伸びてきた腕を避けきれた。
しかし、尚も幾郎が私を捕まえようと迫りくる。
私は再度身をかわし、横から幾郎の肩を力の限り押した。

真横からの攻撃に幾郎がアスファルトに転がる。
私はそれを確認しきらないうちに、踵を返して走り出した。

逃げなきゃ!

必死に走る私の背に、幾郎の捨て台詞が届いた。


「おまえなんかいらねぇよ!クソ女ぁ!」


仮にも付き合っていた女につかみかかり、クソ女呼ばわり。
私、本当に男を見る目がなかった。

とんでもないバカヤローと付き合ってた。
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