ただ、君の隣にいたいだけ
act 3 離さない。デートだから
「はあ、なかなかいいところないな」



とりあえず就活はしなきゃいけないとネットで就活サイトを調べたりするもイマイチ気が乗らない。気がつくと22時。



調べ始めたのは20時半だからもう1時間半も経ってるのか。テーブルの右側に置いたコーヒー牛乳を少し飲んでカチカチとキーボードを打つ。


『影マイク』と。それにしてもなんで亮輔さん、私が昔声優さんに憧れていたこと知ってたんだろ?それともただの偶然?



「影マイクはステージ裏などで台詞を喋ることか」



あのヒーローショーの帰り、ご馳走を期待したのも束の間、なぜか牛丼屋に連れて行かれ、延々と愚痴を利かされた。そこで聞かされた影マイクの存在。


さすがに明海に聞こえたらマズイだろうと思ったけれど当の本人はナイトレンジャーと写真を撮ったことで頭がいっぱいになって私たちの話は聞いてない。そぼろ丼も明海の好きなものだしね。



「影マイクって声優さんになりたい人とかにはうってつけの仕事なんだよな。なんたって、そのヒーローに声を入れるわけだからさ。だいたいヒロインの声っていうのは司会のお姉さんがやるんだ」



「そう、なんですか」
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