LOVE・ホテルに行こう。

2

「おっはようー」


「おはよう」


お盆休み明け。
休みボケの頭に明るい声が入ってきた。


後ろの席の智子がゴロゴロとキャスターの音をたて私の席に滑って来た。


「髪、切ったの?なんかあった?」


クックッと智子特有の笑い方をして私に尋ねてきた。


「気分転換」


暇な連休。
部屋の模様替えをして髪型をイメチェンした。


余計な事を考えたくなかったから。


だけど…頭から離れる事はなかった。
あの日の事。


「フ~ン。
私に隠し事する気?
そんでもって田村君と何かあった?」


立って書類を整理してた私を肘付いて上目遣いで見てる智子。


「なっ…何もないわよ。どうして田村君が出てくるのよっ」


田村と言う固有名詞を言われ少なからず動揺した。


「おう、おう。動揺しちゃって~。
何もなかったら田村君の名前なんか出さないわよ。田村君に美久の電話番号、聞かれたし~」


私の顔を見ながら何か伺ってる感じ。


「…別になにも…ないし」


「フ~ン。そうなんだ。
って、私が簡単に引き下がる訳ないでしょ。
昼休み、屋上でユックリ聞いてあげるから。覚悟しときなさいよ」


「…」


返事しない私に


「休みの朝っぱらから電話してくるんだもん、田村君。なんで男から電話くるんだって直樹が私が浮気してるって勘違いして大変だったんだからね。私にはその理由を聞く権利があるの。あんたには拒否権ないからね。わかった?わかったなら返事。…美久ちゃ~ん?」


「…わかったわよ」






< 11 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop