【短編】約束
思い出の地


――ある初夏の朝


カレンダーに目をやり、急に思い立ったように、私は電車に乗り込んだ。


駅前のロータリーから続く道を抜けると、確か、この辺に近道があったはず。


人の流れから逸れるようにあの道を目指した。


……あった!


民家が連なるこの細い路地を抜けると、たぶん西門に繋がるはずだ。


小雨がしとしと降り注ぐ中、バラが描かれた真っ赤な傘を挿しながら私はひたすら目的地を目指した。


……やっぱり!思った通りだ。


こんな天気の所為か、擦れ違う人も疎らで、通りを行き交う車のエンジン音だけが聞こえる。


守衛のおじさんと軽く挨拶を交わし、西門を潜り“あそこ”へと向かった。 




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