素顔のキスは残業後に
第6章 必要とされること




首の裏から伝わる温かい腕の感触。


優しく髪を撫でる指先の心地良さに薄く瞳を開いた。

カーテンの隙間から射し込む細い光に目を細める。


至近距離にある柔らかい瞳が驚いたように丸くなって、すぐに意地悪な色を添えた。



「よだれ出てるぞ」


「えっ」


慌てて唇を腕で押さえつけるけど、そんな感触はない。

一瞬固まった私の手首が強く引き寄せられると、下唇を甘く噛むキスを落とされた。
< 200 / 452 >

この作品をシェア

pagetop