Sweet Mother's Day
プレゼントは休日

 五月の第二日曜日は何の日だか知ってる?

カーネーション。
子供が作るカレー。
感謝を伝える。

そんな関連ワードが思い浮かぶ日。
そう、“母の日”だ。


母になってまだ三年目の私には、祝うことはあっても祝われることはない。
息子が持ってくるのは、保育園で半ば無理矢理描かされた絵がせいぜいだって思ってたのに。

「今日は母の日だから、麻由に自由な時間をプレゼントするよ」

そう言ったのは、旦那様である佑くんだ。
腕には息子の翔太が抱かれている。普段、父親とあまり接する機会のない翔太はちょっとだけ嫌がってるようにも見える。

「え、だって、大丈夫なの? 翔太の世話はどうすんのよ」

あまりに突然言われたから、私は嬉しいよりも心配になった。

どうした、祐くん。
一体何が起こったの?

「いいから俺に任せて、麻由はゆっくりしてこいって」

「でも佑くん。お掃除だって今日やってしまわないと明日からまた仕事だし」

「それも俺がしてあげる」

「でも……」

なおも言い続ける私の口元を彼の人差し指が抑えた。
佑くんの真剣な表情が、ゆるやかに笑顔に変わった。

「独身に戻ったつもりで、ゆっくりしてきてごらん」

……て、言われてもな。

正直肩透かしを食った気分だ。
今日は掃除して、衣替えもしてとやりたいことも色々あったんだけど。
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