妄想世界に屁理屈を。

葛藤少女



喫茶店に移動した。

長くなりそうだったので。


学校帰りに気軽によれる場所にある、俺の高校の制服がちらちら確認できる店だ。

そんなモダンな感じのお洒落な落ち着いた喫茶店に、一人の幼女の声がコダマした。


「私甘いの食べるっ」


なんだこのわがまま娘。

「金払うの俺だからだめ」

「いえ柚邑殿。吾が支払います」

「マジで!?」


しかしミサキくんの奢りになったので、良しとする。


つい4名ですといってしまい、4人席に案内された。

アカネが見えないとややこしいな。


席について、ひっそりとミサキくんが話し出す。


「いつも復活するとき、黒庵さまは吾に連絡を下さりました。しかし、今回はなく、自力で黒庵さまを探しました」

“カラスは人探しが得意だかんなー”


ああ、だから宮下さんも。

ミサキくんを探してこれたわけか。


「吾は主に仕えるべくこの世に実在を許されている身。主に捨てられたのならば、相応の事態に備えねばならぬと覚悟はしていました」


「や…やだよミサキくんっ」


ミサキくんの隣に座るスズが、すがるような悲痛な声を出す。

しかし、彼は無表情のまま。


“主に仕えるためだけに、八咫烏は存在するんだ。主からほされたら、消えるか悪霊になるかしかない”

「なっ――」



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