森に抱かれて
次の手

佐藤と智子は向かい合って朝食を取っている。

「コーヒー、お代わり貰ってもいい?」

黙々とトーストにかじりついている智子に、恐る恐る佐藤が尋ねる。

「いいですよ、もちろん」

「…」

「なんですか?」

「あ、いや。…折角作ってる水出しコーヒー、俺ばっかり飲んで悪いなぁ〜なんて、思ったりして」

「…」

嫌味かっ。

「佐藤さんに飲んでもらわないと、結局棄てる羽目になるんですから、遠慮なく、好きな時にどんどん飲んで下さい」

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