彼氏人形(ホラー)
蒼太は怒ったような表情で腕組みをして、仁王立ちをしている。


「蒼太……どうしたの?」


あたしは恐る恐る声をかける。


「こんなに遅い時間にどこに行ってた?」


「あ、えっと……葵君がいなくなったって実紗から連絡があって、だから2人で探しに出てたの」


「こんな時間に女2人でか? その必要が本当にあったのか?」


蒼太はドゲのある言い方であたしをせめる。


だけど、蒼太の言い分はもっともだった。


「ご……ごめんなさい……」


あたしは頭をたれて、そう言った。


「陽子はもう少し常識的な行動を取った方がよさそうだな」


蒼太はそれだけ言うと、いつもと同じ部屋のすみまで歩いて行くと、座りこみ目を閉じたのだった。

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