知らなかった。

 人の温もりでこんなに満たされるなんて。

 お互いの肌が触れ合って、そして重なって熱くなる。

 頭のてっぺんから足のつま先までキスされて、くすぐったいのに何故か安心する。

 キスされる度、身体がとろける魔法をかけられているようだ。

 ずっとこのままでいたい。

 温もりを感じたまま眠りにつきたい。

 夢なら覚めないで。

 ずっと・・・・・。

 優しく抱きしめられてその温もりに頬ずりする。

 でも、悲しいことに現実は必ずやってくる。

 頬に感じる慣れない感触に違和感を感じて目を開けた。

「・・・・・」

 声にならない悲鳴。

 なんでこの人がここにいるの?

 一気に目が覚めて、サーッと血の気が引いていくのが自分でもわかる。

 頬に当たっていたのは、彼のちょっとだけ伸びた無精ひげ。

 目の前には知っている男性の端正な顔。

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OL  御曹司  イケメン  地味女  上司  意地悪  腹黒  シンデレラ 

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