レッドカーペットをゆっくりと歩く。

 きらびやかで美しい世界。

 でも、周りは知らぬ顔ばかり。

 ヒールが高くて歩き辛い。

 普段履き慣れない靴を履いて、すでに血豆が出来ている。

 歩く度に痛みを感じるけど、ここで躓いたらシャレにならない。

 どうしたら杏樹さんみたいに優雅に歩くことが出来るんだろう。

 場慣れしていない私には、今のこの状況は拷問に近い。

 周囲の視線を痛いほど感じるが、私ってそんなに場違いなのだろうか。

 不安でしょうがない。

 男性はタキシード、女性はカクテルドレスが多いようだ。

 私も杏樹さんが行きつけのブティックで選んでくれた黒のビーズのカクテルドレスを着ている。

 靴もアクセサリーも総て彼女のチョイスだ。

 鏡に映った自分はまるで別人だった。

 本当に彼女に魔法をかけられたかのように。

 一条さんに好きと伝える勇気をもらえた気がした。

 杏樹さんがいなければ、今ごろ家で普通にご飯を食べていたかもしれない。

 一条さんはどこにいるんだろう?

「こんなことなら杏樹さんを待っていれば良かった」

 杏樹さんは、眼鏡の似合うハンサムな旦那さまと一緒にロシア政府の高官に挨拶をしている。

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