公用車に乗るのは初めてだった。

 一条さんに抱き上げられた私を見た運転手の佐藤さんは、茫然とした様子で車のドアも開ける事を忘れていた。

「佐藤さん、救急箱あるよね?」

 一条さんがいつもの王子な笑顔で問いかけると、佐藤さんは慌てて私達のためにドアを開け、助手席に常備してある救急箱を
取り出した。

「その方が怪我をされたんですか?」 

「ちょっとね。広尾の自宅まで頼むよ」

「わかりました」  

 佐藤さんは困惑していたが、職業柄それ以上の質問はしなかった。

 本当は私の事を聞きたくてしょうがないはずだが、あの様子では一条さんのアシスタントとは認識されていないかもしれない。

 でも、その方が有り難いかも。 

 どうかアシスタントの東雲だってバレませんように。

 考えてみたら、一条さんには恥ずかしいとこばかり見せてる気がする。

 それに、最近手当てされてばっかだよね。

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