わたしの中の 私

昼休み。

社内食堂でランチをしていると、挨拶程度でしか付き合いのない同僚たちから、


「矢嶋部長と結婚するんだって。
おめでとう。」


と声をかけてきた。


「……ちょっと待って！
なんでそのことを皆知ってるの？」


「だって、朝から部長、他の人に、俺、事務の須賀と結婚するんだ、って話しているの聞こえたの。
多分社内の人、ほとんど知っているんじゃないかな？」


……そういえばいつになく私に視線を向けている人が多かったような気がしていたが、気のせいだと思っていた。

廊下ですれ違う人たちが皆、わたしに視線を向けていように感じたのは、間違いではなかったのだ。

慣れない視線に戸惑いながら、私はフロアまでの道のりをうつむきながら歩いた。