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私の心臓も少しずつ落ち着いてきた。

「いや、うちのお母さんね、夕べも夜勤だって言ってたから。うちに行っても誰もいなかったよ。鍵も持ってないし」

「そっか、じゃあこれで良かったんだね」

「うん」

目が合って、顔を見合せてくすっと笑った。

コーヒーを飲んで一息ついたら、気持ちがなだらかになっていくのを感じた。

こんな穏やかな気持ち、いつ以来だろう。
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