おにぎり屋本舗 うらら
 


高須は無反応を装っている。


小泉に完全に背を向け、その表情は見えない。


高須の背に、小泉は言葉をぶつけ続ける。



「お前を教団に誘った人間は誰だ?

寺西和雄か?木元ゆりえか?水島ありさか?

それとも… 聖女アバタリの母親、丸山陽子か?」




丸山陽子の名前に、高須の背中がピクリと動いた。


それでも黙秘を続ける高須に、小泉は怒りをあらわにした。



小泉が鉄格子を蹴る。

辺りに衝撃音が響いた。



「アジトはどこだ?

覚醒剤を大量購入して、何をしようとしている?

答えろ、高須っ!!」




小泉の端正な顔が、今は怒りで歪んでいた。


目が血走っているのは、徹夜明けのせいだけではない。



隣に立つ4課の刑事は、驚きの余り言葉を挟むことが出来ずにいた。


話しの内容もそうだが、こんな風に怒りをぶつける小泉を、初めて見たからだ。




高須がやっと小泉を見た。


床にあぐらをかき、肩越しに顔だけ向けて、薄く笑った。



「あんたも壊れかかっているね。

こっち側に来ればいいのに。

腐った世界を壊して、楽園を造るんだ。

ハハ…ハハハ…アハハハハッ!」





――――…




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