幸せの花が咲く町で




家に戻っても、まだ心の中がざわざわしてた。
特に、もう二十年程会ってない姉のことが、妙に気に掛かった。



姉が家を出てしまったのは、二十歳を少し過ぎた頃……
そんな若い子が一人で生きていくのは大変だっただろうに、どうやって暮らしていったんだろう?
今までほとんど考えてもみなかったそんなことが、あれこれと気に掛かった。



(私って、冷たい妹だなぁ……)



言い訳になるかもしれないけど、ただ、あの時はいろんなことが不安で……
初めての就職や、母と二人っきりで暮らすこと…将来のこと……
自分のことでいっぱいいっぱいだった。
一日一日を乗り越えて行くのが精一杯で……そのうちに、お姉ちゃんや父さんのことは思い出すこともなくなって……



(元々はけっこう仲の良い家族だったのに……)


幸せだった子供の頃を思い出した。



きっと、幸せっていうのは、とても壊れやすいもので……
ほんの小さな亀裂から簡単に壊れてしまうものなんだろうと思う。



でも、それを修復出来るのもきっと家族の力で……



(うちはどうして直せなかったんだろう…?)



ぼんやりと見上げた天井に、懐かしい家族の笑顔が見えたような気がした。





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