「では、よろしくお願いします。」



どこか緊張した表情でそう言って、翔君のママは帰って行った。



「翔君、おやつ食べようよ!
パパが作ってくれるんだ!」

「えーーっ!?
どうして?
普通、そういうのはママがやるんじゃないの?」

「翔君……うちではママが働いて、その代わり、おじさんがお家のことをやってるんだよ。」

小太郎も答えにくいかもしれないと思って、僕がその質問に答えた。



「へぇ~…変なの~…」

子供は本当に正直だ。
小太郎は、困ったような顔をして黙っていた。



(ごめんな…小太郎……)



今までは小太郎の友達を家にあげたことは一度もなかった。
それどころか、親戚以外、誰も上がらせることはなかった。
子供が来ることは別にそれほどの問題ではない。
ただ、そのことから、子供の親との付き合いが始まることがいやだった。
いろんなことを詮索されるのが煩わしかった。



だけど、あの桃田行で僕はどこか吹っ切れたんだと思う。
うるさくしないならお友達を連れて来て良いと言ったら、小太郎はすぐに翔君を誘った。



「今日はパンケーキだよ。」

「ふぅ~ん。」



席に着き、翔君は、僕の手際をずっと見てる。



「こた君のパパ、本当に上手だね。」

「まぁね、毎日やってるからね。」

僕はパンケーキを焼くと、その周りにフルーツを盛り付け、アイスを載せてその上から温めたチョコを流しかけた。



「はい、お待たせしました。」

「うわぁ!ファミレスみたい!」

翔君の言葉に、小太郎もにっこりと微笑む。



「パパの料理はファミレスよりもおいしいよ!
なんだって作れるんだから!」

くすぐったいやら恥ずかしいやら……
でも、悪い気はしなかった。



「翔君、飲み物は何が良い?」





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