幸せの花が咲く町で
◆優一

寂しさと不安の中で

♪一年生になった~ら~一年生になった~ら~



小太郎はランドセルを背負って、遊びに来た翔君と一緒に楽しく歌を歌ってた。



「なっちゃん、小太郎の小学校はどうするつもりなの?」

「一応、こっちの小学校に手続きはしてあるよ。
あの頃はまさかこんなことになるとは思わなかったからね。」

「じゃあ、変更手続きみたいなことを早くしなきゃいけないんじゃないの?」

「……うん、そう思ったんだけど、こたはあんなに翔君と仲良しだし……一緒に入学させて、せめて数カ月くらいは一緒に通わせてやりたいんだよね。」

「却って辛くなるんじゃないかな?」

「そうかなぁ?」



僕は心配でたまらなかった。
いまだ、なっちゃんは亮介さんが本当の父親だってことを小太郎に言ってないし、引っ越すことももちろんのこと、小学校もこっちには通えないことを話していない。
話せば、小太郎が悲しむからだろうけど、避けては通れないことをなぜはっきり言わないのか……
でも、小太郎は僕の本当の子供じゃない。
僕は叔父なんだから、あれこれ口出しすることは出来ない。



「朝は車でここまで送って、ここから翔君と一緒に登校して、学校から帰ったらここで時間を潰してもらって、夜になったら迎えに来ようって思ってたんだけど、だめかな?」

「……だめじゃないけど……」

僕だって、小太郎がいてくれたら気持ちが安らぐから、だめだとは言えない。
どうせなら、月曜から金曜は泊まってくれた方が嬉しいくらいだ。
だけど、そうはいかないだろう。
亮介さんは、一日も早く小太郎にパパだと認めてほしいだろうし、だからこそ、こっちに泊まることなんて許すはずもない。
小太郎の今後のことを思うと、本当に気が重くなる。
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