「ごめんね、なっちゃん…本当なら僕が……」

「そうじゃないよ。
私、元々仕事が好きなの。
亮介とうまくいかなくなったのだって、あいつが私に仕事をやめてほしいって言ったからなんだから……」

「そうなの?」

なっちゃんは小さく頷く。



「家にいて、家事やら小太郎の面倒をみてほしいって。
でも、小太郎が生まれても働くっていうのは最初から約束してたんだよ。
ただ、そんなにすぐに仕事に復帰するとは思ってなかったらしくってね……」

なっちゃん達が別れた理由は聞いてなかったけど、まさかそんなことだったとは……
でも、考えてみれば、亮介さんはなっちゃんにぞっこんって感じだったから浮気なんてするはずもないし、亮介さんはたいがいのことはなっちゃんの言う通りにしてたから、そういうことくらいしか、原因にはならないかもしれない。



「いろいろ大変だと思うけど、どうか頼むよ。」

なっちゃんは、両手を合わせ、大げさに頭を下げた。



「うん。家のことなら大丈夫だよ。」

「ありがとう!あんたにも給料払うからね!」

「いらないよ、そんなもの。」

「何言ってんの!
あんたは主夫っていう仕事をやってくれるんだから、当然、お給料払わなきゃ!
家事労働って、月給にするとだいぶ高額になるらしいよ。」

「今までの生活費って借りがあるから、それから引いといて。」

「だったら、私もここの家賃払わないと…!!」

僕達はそんな言い合いを延々と続け、結局、最後はおかしくなってお互い笑って話し合いは幕を閉じた。



「じゃあ、早速、友達に連絡するね。
多分、月曜から行くことになると思う。」

「そんなに急に……?」

「善は急げだよ。
それとね、小太郎を幼稚園に入れようと思ってるんだ。
たまたま良い所があってね。
申込書書いてあるから、それもお願いね。」

「え…!?」



それから、僕の慌ただしい主夫生活が始まった。

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