(……良いなぁ。)



手を繋いで、店を出られた二人の後ろ姿に、私は思わず頬が緩むのを感じた。



それは、けっこうよく来て下さるお客様。
男性は、花束を持って歩くことにも抵抗を感じられる方が多いと聞くけど、あのお客様はそんなことは少しも気にされてる様子はない。
月に二度か三度、あの方はお店に来られる。
お花のセレクトはいつもお任せだけど、お花を渡すと「部屋が明るくなりそうです。」とか「良い香りですね。」だとか、ちょっとした感想を言って下さる。
きっと、奥様がお花の好きな、繊細なタイプの方なんだと思う。
息子さんのお迎えにもいつも来られてるから、なにか少しご事情があるのかもしれない。
たとえば、奥様はお身体が悪くて、あの方がお家で介護をされてるとか……
でも、息子さんは明るくて利発な印象で、パパともすごく仲が良さそうだから、たとえ、私の想像通りだとしても、不幸なご家庭ではなさそう。
そうよ、たとえ、ご病気でもあんな優しそうな旦那様がいたら、不幸なんかであるはずがない。



羨ましい……



愛のある家庭……



私には、ずっと手に入れられなかった……そして、この先も、一生手に入れられることのない理想の家庭……









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トラウマ  転機  アラフォー  復活  地味  切ない  誤解  ピュア  大人の恋  じれじれ 

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