† of Thousand~千の定義
一章
† 一章



雑誌というものは、時流に則った内容のものを、各ジャンルで闇鍋にしたものだと思っている。

辞書は引いてない。

私が自分で定義したものと、世間が意味付けするものは個別だと思うからだ。

思うついでではあるが、

「おい長沢、私そろそろ飽きたんだけど?」

「あ~、もう三百秒ほど」

「は?」

「つまりあと五分」

「……さっさとしてよね、こののろま」

私の隣にいるインテリメガネの長沢武男は、まったくもって人を待たせる達人だと思う。

長沢は、車の免許は持っていない。にもかかわらず、読んでいるのはその車雑誌だ。

なぜ読むのか。問うたならば、その答えにして曰く、好きだからだそうだ。

これでも『彼女』という立場の私だ。長沢には少し悪いと思う。が、実際まったくもって付き合いきれん。
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