† of Thousand~千の定義
三章
† 三章



人の出逢いとは、因果と呼ばれる引力の結果だ。

因果とは、人間があまた選択してきた分かれ道の都度、己が消費した時間、それによってもたらされた『現在』だと思えばいい。

人の出逢い……それが因果ならば、私と魔術が出逢ったこともまた、因果……あるいは運命なのだろうか。

『運命』……その単語にわずか、失笑する。

私の中で運命とは、人間が少なからず望み、想像したことで引き起こされる最大の暗示だと定義されている。

ならば私は、魔術に触れることを、望んだのか?

四年前の出来事も、私が望み、導いた暗示ゆえか……?

たとえ魔術を研究し続けても……この答えは永久に、見つからないかもわからない。

未来とは、底意地が悪いのだ。
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