第3ワープ宇宙局
最終試験場
ガラス張りの屋根には、途方もなく星が輝いていた。
ピッタリ寄り添うかのように右手には青い地球の半分が見えた。
ここは、第3ワープ宇宙局の最終試験場だ。
教室の左手には、座布団のような小さなロケットが収納されていく。ガタガタ音がするので上を気にしていた。

試験は最新の超ひも理論応用の筆記試験だった。
超ひも理論は進化し、第3ワープという人工物を、木星の横に作り上げた。第3ワープ宇宙局はその第3ワープを通り抜ける事ができる宇宙飛行士の最終試験場なのだ。
木星横にできた第3ワープから、ライマンα天体ヒミコを調査する。
ワープにはかなりのGがかかり、並み大抵の体格ではまず試験には向かなかった。
筋力の増強など、特別な食事が出される。
第3ワープ宇宙局は、ヒミコの第1事業主として幅を利かせるが、地球上からの試験者に対してはあまり期待を持っていないらしかった。
彼らは、第3ワープ宇宙局に宇宙飛行士を育成するため、第3ワープ宇宙局にコミュニティを
作り、産まれながらの宇宙飛行士を育てようとしていた。
志願者として地球上で産まれた者が第3ワープ宇宙局に着くと、そこで産まれ育った者のしなやかな細さに驚くだろう。
Gがかかる負担を減らし、なおかつ筋力があるのだ。
地球人は骨が太い。地球上で産まれたと直ぐに見分けがついた。
第3ワープ宇宙局に来てから、真山徹(まやま とおる)は第3ワープ宇宙局で産まれた人に、
馬鹿にされたような目で見られていた。
無理もない。地球上で産まれただけで、マイナス要因なのだ。
しかし、ヒミコ研究の第1任者に地球上で産まれ育った宇宙飛行士がいる。
ロバート・ルイスだ。
真山は彼に憧れて、ヒミコ調査の研究委員を目指したのだ。
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