豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「ミツ、大丈夫か?」
横から声がかかり、振り返ると三池がいた。


「ぜんぜん……大丈夫じゃあありませんけど」
光恵は三池にも当たり散らしたい気持ちでいっぱいだ。


だいたい、なんであの席順にした?
嫌がらせだろ?


「ミツには悪いけど、少しいい雰囲気になったな、ココ」
「はあ?」


三池の神経が分からない。
人の不幸を利用して、このやろう。


「孝志は心配ないだろう。あいつは精神面で随分成長したから。プロだ」
「はあ」
「でも、野島はちょっと心配だ」
「……なんでです?」
「男は誰でも、年上の女性に憧れる時期ってものがあるんだ。だから理解できるけど、少し熱くなりすぎてるな……」
「……」
「舞台に影響するかもしれない」


三池は腕を組んだ。
「ミツお前、あいつをなんとかしろよ」


「は?」
光恵はぽかんと口を開けた。


「なんでわたしが?」
「だって、お前のことが好きなんだろう? 受け入れるのも、はねつけるのもお前の仕事」


三池はにやりと笑う。
「うまくやれよ」


そういうと、光恵の肩をぽんと叩き、役者達の中へと入って行った。

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