「あと五日で初日なのに、まだ孝志が迷ってる」
三池は腕を組み、眉間に皺を寄せた。


光恵は差し入れのチョコレート(孝志のキットカット)を持って、稽古場へ顔を出すことにした。チョコレートが早くはけるのはここしかないと思ったし、正直孝志のことが気になって、どんな感じか見に来たのだ。


「……どうしたんでしょう」
「さあな、困ってる」


三池は溜息をついた。


「今日は?」
「ゆうみと孝志は、舞台の取材で出てる。もうすぐ帰ってくるけど」
「そうですか」


光恵は自信満々の様子だった孝志を思い出した。


本当はどうなんだろう。


「おはようございます」
扉が音を立てて開き、孝志とゆうみ、それからマネージャーの志賀が入って来た。


きっちり髪をセットし、ドレスアップした二人。


白鳥先生の言葉が頭をよぎる。
『絶対に手の届かない人よ。自分が惨めにもなるし』


かつて、そして今も、親密な関係にあるんだろうか。
「好きだ」と告白されても、光恵は今、不安で、惨めだ。


あんな二人を見たくない。