「うわああああああああ」


自分の部屋にはいるなり、孝志は叫び声をあげた。


初日まで残り四日。
迷走中。


光恵が「つきあってもいい」と言ったあと、完全に舞い上がった。


ミツが。
あのミツが。
俺に、キスしたんだよ!?
付き合ってもいいって、笑ってそう言ったんだ。
信じらんない。完全勝利。
ざまーみろ、野島。


でもどうして自分に「Yes」と言ったんだろう。


ふと我にかえって、疑問に思い出したらとまらなくなった。


キットカットのどか食いを食い止めるため?
舞台を成功させるため?同情?
それとも、俺のこと、好きになってくれたんだろうか。


孝志はじっくりと考えてみた。それからあきらめたように首を振る。


まさか、そんな訳ない……。


ざわついた気持ちのまま、舞台に立ってもうまくいかなかった。完全に自信を喪失していた。輝の、あの、のびやかな芝居。自由で、奔放で。自分には絶対にまねできない。


今の俺じゃ、絶対に無理だ。