空港に降り立った孝志は、シンプルなブルーのシャツに、ベージュのハーフパンツ、外に出る時にいつもつける、帽子と眼鏡という姿。レンタカーのカウンターで、受付の女性スタッフと話していた。


光恵は少し離れたところから、その様子を眺める。正直、すごく、かっこいい。


あ、あの人、気づいたみたい。
なんだかうれしそうに笑ってる。


「行こう、ミツ」
鍵をもらった孝志が、光恵の手を引く。振り向くと、受付の女性が、こそこそと他のスタッフと話していた。


ハイブリッドカーのエンジンを入れて、道路へと走り出す。


「ホテルすぐ行く? それとも観光しよっか」
「石垣で観光って、何があるの?」
「川平湾で、グラスボートに乗るとか」
「わ! 素敵」
「じゃあさ、その後、沖縄そば食べよう」
「いいねー」
「ブルーシールズアイスクリーム、いつ食べる?」
「見つけたら食べようよ」
「じゃあ、ラフテーは?」
「……ねえ、食べることばっかり」


光恵は少し呆れて、運転する孝志を見た。


「えー、せっかく来たんだから、食べなくちゃ。うまいよ、きっと」
「そりゃうまいでしょうけど」
「ミツー、厳しいこと言わない! ちょっと太っても、東京帰ればすぐに戻るんだから」


孝志は自信満々にそう言う。


「そうだよね……じゃあ、食べ過ぎない程度に」
「オッケー」


孝志が満面の笑みを浮かべた。