無事に夜が明けた。


ブルーのカーテンを開くと、早朝の日差しが部屋に入り込む。
ラグの上で丸まっていた孝志が、うむむ、と変な声を出した。


光恵は既に着替えをすませ、運動に行く準備は万端だ。


「孝志、起きて。運動行くよ」
「ういいいいい」


孝志が目をこすりながら身体を起こし、タプタプのお腹をぽりぽり掻いた。光恵はそれを見てげんなりする。


「わたし、朝食の支度するから、孝志は着替えて、顔洗って」
「う……ん」
孝志はのっそりと立ち上がり、ふらふらと洗面所へと入って行った。


前回よりも明らかに体重が増えているのに、期間は短い。かなりストイックにやらないと、プレミアまでに身体を元に戻せないだろう。


光恵は手早くミキサーに野菜を入れていく。緑黄色野菜のスムージー、カロリーがあがるので砂糖も牛乳もなし。そのかわりにバナナを入れた。これで朝のランニングはもつはずだ。


「できたー」
洗面所から孝志が出て来た。


見るとジャージのフードをすっぽり冠り、サングラスをかけている。完全に不審者だ。


「あつっ苦しい」
光恵はサングラスを取ろうと手を伸ばした。


「だめだって。顔がばれたら、ヤバいんだから」
孝志は有名人っぽい発言をしたが、光恵は「そんなわけないって」と一蹴した。


「かけてもいい。今の孝志じゃ、絶対に誰も気づかないよ」
「えー、そうかなあ」
「試しにサングラスを外して走ってごらん」


光恵は意地悪くそう言った。