三週間目が終わろうとしている。


「あと、一キロなんだけどなあ」
ラグの上にごろごろとしていた孝志がつぶやいた。


残り一週間を残して、停滞期に突入していた。絞りにしぼって、合計六キロも痩せた。かなりストイックだ。ここであきらめてしまうとリバウンドが恐ろしい。光恵は「しばらく辛抱したら、また痩せてくるって」と慰めた。


夜の時間。光恵は書き終わった脚本の見直しをしていた。なかなか書き始められなかった割には、うまくできたんじゃないかと思う。三池に見せるのが待ち遠しい。


孝志が起き上がって、横から光恵のコンピュータを覗き込んだ。


「読ませて」
「まだ駄目。機密情報」
「なんだよ、もったいつけて」
「だって、三池さんにもまだ見せてないし。孝志は部外者でしょ」


「部外者でしょ」というときに、ちらっと意地悪な気持ちが混じるのが、自分でもわかった。
嫌な女だな、わたし。


「ちぇ」
孝志はそう言うと、再びごろりと横になった。それから「ねえ、ミツ」と話しかける。


「なに?」
「俺が舞台に戻ったときにも、新しいの書いて」
「……いいよ」
「俺のためにだよ」
「わかったって」
「約束だから」
「うん」


光恵は頷いた。