豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


劇団員とスタッフの大半がそろったころ、稽古場の扉が開き、志賀が顔を見せた。


「おはようございます」
彼女は丁寧におじぎをする。


それから孝志が入って来た。


光恵の心臓が、ぎゅっと萎縮する。


続いて、ゆうみが入ってくる。男性陣から軽い溜息が漏れた。


「本日より、お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします」
志賀が机の前にまで来て、再びお辞儀をする。ゆうみも深く頭を下げた。


孝志は、
「お久しぶりです。我が家に帰れて、本当にうれしいです。よろしくお願いします」
そういって、頭を下げた。


孝志とゆうみは、この場にいながらも、まったくの別世界に存在しているかのようだった。


孝志は髪が少し伸びた。黒いストレートの髪は、丁寧にセットされ艶がある。顎から首にかけてのラインはほっそりして、男性とは思えないほど滑らかな肌をしていた。見たことのないブランドもののカーディガンを、細く引き締まった身体の上から羽織り、細いデニムを履いた足は驚くほど長かった。


以前の孝志からは想像もできないくらい、完璧なスタイル。


ゆうみは言うもがなで、全てが華奢でまるで人形のようだ。ミニスカートから伸びる足はまっすぐで、ロングの黒髪は稽古場の照明で輝いていた。


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