「ああああああ、いきたくなああああああい」


光恵はベッドの中でうなり声をあげた。


カーテンの隙間から、朝日がこぼれ、ラグの上に光の道をつくっているのが見えた。光恵は眉間に皺を寄せて、目をぎゅっと閉じる。


昨晩は飲み過ぎて、頭の中では凄まじい嵐がおこっているし、身体全部はストライキを起こしたかのように動かない。正直、これまでの人生で一番飲んだんじゃないかと思う。割と理性が効く方だし、どちらかというと飲みの席では介護役が多かった。酒に飲まれる人の気持ちがわからなかったが、今なら分かる。


酔ってるときは、忘れられるんだ。


輝を相手に、深夜まで飲んだ。
『たぶん飲んだ』が正しい言い方だ。
途中から、相手が誰かとか、今は何時だとか、すっかり飛んでしまっていたから。


稽古場に九時。今は……。
光恵は布団からのっそりと手を伸ばし、ベッドサイドのスマホの時計を確認する。


八時ちょうど。
もう支度しなくちゃいけない。


光恵は大きな溜息をついた。