極彩色のクオーレ








「う~ん……」




木漏れ日が射さないほどに密集した森の中。


多くの旅人や商人が使っているのであろう太い道から少し外れた獣道に、少年のうなり声が響いた。


青みがかった黒い髪に竜の鱗を連想させるようなデザインの紺色のバンダナを巻き、動きやすそうな袖の長い服を着ている。


腰の太いベルトには様々な工具と二本の手板。


足元にある鞄の隙間からも同様のものがはみ出している。


あまり荷物は入っていないようでそこまで膨らんではいない。



「……ええ、と?」



少年は地面からごろごろ突き出た岩の一つに腰掛け、地図をにらみながら唇を尖らせた。


顎をかき、首をひねる。



「迷いましたかね、こりゃ」



暮れなずむ空にカラスの鳴く声がむなしく広がる。


少年は空を見上げてため息をついた。



「おかしな獣に追いかけられたのが計算外だったなあ。


変なところに来てしまいましたよ、まったく。


夕方には街に到着できると思ってたのに……」




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