MOONLIGHT【番外編~ウエディング、新婚旅行!?編】

★葉山典幸のため息




はああぁぁぁ。


その姿を見た瞬間。

大きなため息と、ともに…。

「何で、典幸が泣いてんのよ。アホじゃない?」

相変わらず、その優しい心とは裏腹の毒を吐くのは。

純白の、シンプルなベリー・Bのドレスを纏った、最愛の妹。


本当に――


「綺麗だ…レイ。うううっっ。」


もう、なんて言っていいのかわからないほど、感極まってきた。


父さんと美景さんは籍は入っていなかったが、普通に一緒に住んでいて。

だから俺も、3歳の時から一緒に住んでいた。

そして、俺が小学3年の時に、レイが生まれて。

生まれた時から、レイは信じられないくらい綺麗な子だった。

もう、可愛くて、可愛くて。

自慢の妹で。

凄く仲のいい、兄妹だった。

本当に仲のいい、4人家族だった。

美景さんが亡くなるまで――


レイには不憫な思いをさせたと思う。

だからこそ、幸せになってほしい。

将君のことはよく知っているが、真面目で凄くイイやつだ。

何て言ったって、夕真ちゃんをマジで好きだったんだから。

それも、決して夕真ちゃんの外見の魅力だけではなくて、内面を見て好きになったんだから。

同じ夕真ちゃんファンとして、将君には一目置いていたし。

ああ、夕真ちゃんの話じゃなくて、レイのことだ。

そうそう。

何しろ、この筋金入りの意地っ張りが甘えられる男なんだから。

間違いない。


だけど、少し…寂いしい。

あ、また涙が…。

レイがティッシュの箱を投げつけてきた。

また、照れかくしだ。

照れているときほど、ぶっきらぼうな態度をする。

ふふ、本当に可愛いよな。

俺がクスリと笑ったら、レイがむっ、とした。



「典幸、鼻水きたないから、早くふいてっ。」


…照れ隠しだけど、もうちょっと言いようがあるだろ。


「・・・レイ、お兄ちゃんに、今までありがとう、とかないのか?」


ちょっとからかってみようか。

レイが落ち着かないのか、タバコを咥えた。

その姿でこちらを振り向く。


「あ?」


って、それ花嫁の態度じゃないよな…。


「何で、典幸にお礼なのよ。父さんはどうした?」

「あー、何か、レイの花嫁姿見たら泣くって…。新婦入場の時まで会わないって、ずっとトイレだ。」


そう言うと、レイがため息をついた。


咥えタバコで。




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