甘い恋飯は残業後に

●事の真相

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店舗営業部の全体会議は、難波さんが今週いっぱい不在の為、週明けまで延期されることになった。

彼の不在理由は、表向きは単なる出張ということになっている。

でも、実際はモリヤ本社内での仕事と外出の繰り返しらしく『面倒だからそういうことにしておく』と、難波さんはあの晩わたしに言っていた。


この間の緊急重役会議といい、裏で何かが起こっていることは間違いない。

きっと一社員レベルにはまだ話せないことなのだろう。だから、難波さんがわたしに“聞いてくれるな”という空気を作ったのも理解出来るし、こんなことで公私混同する程、わたしも子供じゃない。

でも……理解していても、うまく呑み込めないことはある。


『少しの間、会えないかもしれない』

気持ちが通じ合った後に、一番言ってほしくない台詞だった。仕事が忙しくても、夜は会えるかもしれないと淡い期待を抱いていた。

ふと、あの晩のキスを思い出して、胸がじんと痺れたように熱くなる。

あの後わたし達はソファーに場所を移して、キスを繰り返した。それはもう呆れる程に。おかげでわたしは終電を逃し、結局難波さんに車で送ってもらうことになってしまった。