適当魔法少女・りおん
4―あっ――。

高度1、500キロ――中軌道領域――。


国際宇宙ステーションが、「遥か下」で地球の周回軌道を回っている――。




たかが、数千メートルの上空世界で聞こえていた、風の音、雲の息遣い、僅かに感じられた人間の営み――。



全てが遮断された様な、無音で寂しい世界――。


怖い――自身の感情を、無理矢理に「寂しい」と変換する事で自分を保っている様に見えるりおん――。



「寒い――」


小さく呟く――。


体感ではなく、寂しいと思わせている感情が、そう言わせている――。



実際に、りおんの躰は魔法によってサポートされている――。


目には見えないが、直径3メートル程の球体の中で、酸素供給、温度管理が適切に行われ、りおんを保護している――。


魔法少女の定番装飾である魔法陣も、既に展開を始めた――。



りおんの腰の辺りを中心軸として、直径3メートルの土星の環に似た基礎魔法陣が展開する――。


りおんを上から見て、その魔法陣のデザインは、伝統や作法に則ったものではなく、実に独創性に富んでいる――それを「適当」と感じる者もいるだろう――。

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