薬指の約束は社内秘で
第5章  あの日見た夢の続きを
こんな状況なのに、なにか都合のいい夢でも見てるの?

心の問いかけを否定するように、私の背中に回った腕が空いている僅かな隙間を埋めようと力を込めた。
トクンッと静かに伝わる鼓動は、どちらのかさえ分からない。

ただ体を熱くして身を委ねることしかできないでいると、

「それ以上、何も言うな」

首筋に埋もれた唇があの日とは違う囁きを漏らした。

酷く掠れた声に、背中を包み込む指先の震えに、胸がギュッと締めつけられる。
言いようもない想いが込み上げて、彼の背中にそっと腕を回した。
< 146 / 432 >

この作品をシェア

pagetop