「あなた、
隆(タカシ)の進路指導のことなんだけど…」




「あいつの希望するところでいいだろう。
後はお前に任せるよ。」





「でも…」





言い返そうとするが、すでにベットへ潜り背中を向けられてしまうとつい、言いかけていた言葉を飲み込んでいた。




聞こえない程度にため息をついた私は、ドレッサーの前に座り鏡を見つめた。




ひどい顔…




ストレスのせいか、顔色が冴えない。
何か疲れ果ててる顔。



まぁ、そうなんだけど。



諦めの笑みを浮かべて、美白だのエイジングだのよく分からないけど値段だけは一丁前の化粧水を顔に浴びせる。



浴びせるといっていいのか分からない量だけど。




何よ、あのカウンセリングのお姉さんインチキよ。



“使って次の日の朝にはすぐ違いが肌に感じられます。”



1週間経っても、この枯れた肌は一向に変わらない。




「はぁ。」




今日は何度目か分からないため息。



最近そんな無意識なため息を漏らしているのは私、宮崎 有子(ミヤザキ ユウコ)。37歳。




管理職の7歳年上の夫に、中学2年の息子1人を
もた持つ、妻であり母である。




スーパーでパートをしながら家事をこなす、ごく普通の主婦。




でも、この生活に幸せなどない。




何せ夫は、私いや家族に無関心だから。
今だって分かるように、夜同じベットに寝ていても夫婦の営みなど一切ない。



私を女として抱かれたのは、いつの頃だろう。



生活だってそう、子供の事だってすべて私任せ。それは隆が赤ちゃんの頃から変わらない。



私が育児ノイローゼっぽくなっても、知らんぷり。



優しい保健師さんのおかげで隆をここまで育てられたと言っても過言でない。




夫は、家にお金を入れていることで夫として父親として役を果たしていると自己満足しているんだと思う。




そんな父親の子供。




一生懸命育てたからといって、期待してはいけなかった。




あの父親にしてこの子あり。




たった1人の息子も、家族に無関心だった。





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タブー  年の差  不倫  学校  短編  教師  主婦 

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